アユとは?

魚類分類:アユ科アユ属アユ
学名:Plecoglossus Altivelis(「ひだになった舌」と「高い帆」を意味する。)
当て字:鮎、安由、香魚、年魚、王魚、細鱗魚

エピソード:何故日本ではアユの字に「鮎」が当てられるのか?古代神功皇后が朝鮮半島に出兵する際に、この魚を釣って勝敗を占った事から魚へんに占うを書く字を当てたとする説が有力である。
因みに中国では「鮎」はナマズを指しアユは香魚を当てる。

※ 私的には「鮎」の文字は古代アユの遡上の時期により田植えの時期、下降によって稲刈りの時期などを占う事が可能であり、これにより「鮎」を当てたのではないかと思う。


アユの生息域


日本ではほぼ全土に分布するが生息量は関東以西に多い。北海道は明治のはじめ頃本州から移植され、北限は天塩川である。
南限の沖縄と奄美大島のアユは亜種としてリュウキュウアユと呼ばれる。
東アジアの北緯22度から43度の太平洋岸一帯にも分布する。


アユの食性


河川を遡上するアユは、体長50mmくらいまでは動物性プランクトン、60mm〜70mmまでは動物質と植物質のエサを食べ、成魚になってからは石の上に付着する藻類を食べる。その食性は貪欲である。


アユの一生


【産卵】

水温が15℃〜18℃の時が産卵の最盛期となる。
東北、北海道では8月下旬から9月上旬、中部地区では10月下旬から11月上旬、南の方では12月中旬となる。
産卵数は個体差があるが大方2万〜7万粒である。
河川中下流域の勾配が緩やかになった河床で河川の合流点や湾曲部、砂州などの周りに産卵する。
親魚は産卵が終ると死亡する。


【仔魚は海へ下る】

卵は10日〜14日で孵化し、孵化後すぐに海や湖に下る。
海や湖に下った仔魚は体長50mm〜80mmまで成育する。


【遡上】

川と海の水温が同じになる頃から遡上が始まる。よって南の方では早く、雪代の遅い北陸や北の方では遅くなり1月下旬から7月上旬に及ぶ。
中部では3月から5月、北陸では7月まで遡上があることも有る。


【成長】

遡上中は群れを作るが中流域に達する頃には群れを離れ「縄張り」を持つようになる。
5月頃から本格的に成長のスピードが増し、2〜3ヶ月で20cm以上になる。
石に付着する藻類の繁殖が盛んになる夏場は、俗に「一日一分(3.3mm)」成長すると言う。


【産卵の準備】

8月下旬頃から淵に集まりはじめ降雨による増水とともに下流の産卵場所に向かう。
産卵時期のアユは「さびアユ」と呼ばれ雌雄共に体表が黒ずむ。


アユの文化

アユは神話の中で重要な象徴的魚として桓武天皇と神功皇后の伝説にも登場する。
この神話から天皇即位の式や朝賀の式には5尾のアユと1個の酒瓶を描いた万歳幡という旗を立てることになった。
また万葉集にもアユに関する歌が収められているなど、古くから日本人との関わりは深い。


人気が高いアユ釣り

アユは河川や湖沼の内水面の釣り対象魚の中では最も人気が高く、アユ釣り人口は600万人とも言われている。
よって河川漁協の多くはアユの放流に最も力を入れている。
しかし、私が思うにはアユ釣りの遊漁料は非常に高く、また遊漁料の回収期間が渓流釣りに比べて短期間であることと釣り人が動かないので回収し易いので必然的に力が入るのだと思う。


アユの養殖

1949年に漁協法が改正され内水面での漁業権には魚族を保護し増殖する義務が付加された。
そのために各都道府県に内水面漁業協同組合が結成され、養殖と放流が実施された。
養殖と放流の種苗として大きく3つに分けられるが人気の高い琵琶湖産アユは近年の冷水病によって地元の人工産アユに切り替える漁協が増えたため激減している。

【海産アユ】
川で産卵し、海で稚魚期を過ごすアユで「両側回遊型」とも呼ばれる。

【琵琶湖産アユ】
湖が海の役割を果たし、繁殖を繰り返す陸風アユの代表で海産アユに比べて頭が小さく鱗の数が多い。
体重の割りに卵数が多く産卵時期が早い特徴がある。

【人工産アユ】

各地の水産試験場や栽培漁業センターなどで種苗生産されたもの。
飼育の初期に海水や汽水の条件下に置く事が多いので外見的な特徴は海産に似る傾向がある。

                 種苗別アユ放流量      内水面漁協資料より
年度 琵琶湖産 海産 人工産 合計
1997年 660.26t 110.76t 368.45t 1139.47t
1998年 608.68t 72.15t 462.10t 1142.93t
1999年 550.68t 131.52t 532.56t 1214.76t
2000年 537.44t 166.56t 568.67t 1272.67t
2001年 451.88t 155.67t 565.21t 1172.76t
2002年 316.67t 192.92t 608.44t 1164.01t


アユの漁獲量

アユの漁獲量は1991年をピークに毎年減少傾向にある。
理由としては治山治水事業による川魚漁師の減少、天然遡上の減少、冷水病、アユ釣り人口の増加が考えられる。

                    アユの漁獲量の推移                水産庁資料
1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
17,795t 18,093t 17,677t 14,242t 14,272t 13,700t 12,732t 12,619t 11,386t 11,380t 11,172t


2000年都道府県別アユ漁獲量ベスト10
順位 都道府県名 漁獲量 国内構成比
1位 滋賀県 986t 8.8%
2位 岐阜県 755t 6.8%
3位 徳島県 715t 6.4%
4位 和歌山県 648t 5.8%
5位 熊本県 587t 5.3%
6位 神奈川県 582t 5.2%
7位 茨城県 575t 5.1%
8位 高知県 564t 5.0%
9位 静岡県 476t 4.3%
10位 栃木県 399t 3.6%
上位10位までの合計 6,287t 56.3%

アユの冷水病

アユの冷水病とは元々北米のマス科の病気で低水温期の稚魚に発生し、死亡率が高い。
フラボバクテリウム・サイクロフィラムという細菌を原因とする疾病で、体表が白濁したり潰瘍などの穴あき症状が出るほか、鰓蓋下部の出血などが見られる。日本では1985年ごろからギンザケやニジマスに発症したが、1987年に徳島県の養殖場で初めてアユに病原菌を確認後全国的に拡大している。

■鮎の冷水病に関してのサイト■
■「アユの冷水病」 ■「アユ冷水病対策研究会取りまとめ」 ■「株式会社マルト鮎冷水病対策に協力のお願い」  

                        冷水病発生都道府県数               水産庁資料
年度 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年
件数 16 23 27 26 25


釣れないのは冷水病が原因か?

毎年毎年冷水病が原因で大量の放流アユが死にそれが原因でアユが釣れないと言うがそうだろうか?
確かに冷水病によってアユが死に魚影が落ちる事も原因だが一番大きな原因は養殖アユの体質ではないだろうか?
どこの河川も一様に釣れない訳では無いからである。
ある程度冷水病に掛らないように時期を選んで放流することによって死滅は避ける事も出来るはずだ。
漁協の収入を早めたいばかりに時期尚早の解禁、放流をすることを先ずは止めることだ。
それと河川にあった種苗を選んで放流することだ。

【検証】

釣れる河川(漁協)は釣れない河川(漁協)と何が異なるのか?

2003年爆釣した河川:宮川漁協川上川、根羽川漁協根羽川、高原川漁協双六川、益田川漁協竹原川、恵那漁協川上(かわうえ)川

宮川水系川上川=湖産系人工アユの単独放流
矢作川水系根羽川=湖産系継代アユと湖産と海産の交雑継代アユ無菌種苗
恵那漁協川上川=湖産系人工アユの単独放流
高原川水系双六川=湖産系人工アユの単独放流
益田川水系竹原川=無菌人工産単独放流


好釣のキーワードは?

それぞれの河川環境にあった種苗の放流と放流の時期を考える。
近親交配した人工産は耐病性が弱く冷水病にも掛り易い。
近親交配した人工産はアユ本来の縄張り意識も薄い。
無菌の人工産の単独放流を支流で実施する。